多面的機能支払交付金とは
農業・農村は、私たちが生きていくのに必要な米や野菜などの生産の場としての役割だけではなく、農村で農業が継続して行われることにより、私たちの生活に様々な『めぐみ』をもたらしています。
この『めぐみ』は「農業・農村の有する多面的機能」と呼ばれ、例えば、水田は雨水を一時的に貯留したり、洪水や土砂崩れを防いだり、多様な生きものを育んだり、時には美しい農村風景が私たちの心を和ませてくれるなどの役割を果たしており、その『めぐみ』は農業者のみならず、都市住民を含めた国民全体で享受しています。
その、地域の共同活動によって支えられているはずの多面的機能の発揮が、近年、農村地域の過疎化、高齢化、混住化等の進行に伴う集落機能の低下により、維持できなくなりつつあります。
例えば、農業用の排水路には、農地からの排水のみならず、降雨時には山林、道路、宅地等からの排水が流れ込みますが、土砂が溜まり雑草が生えると流れが悪くなり、農業生産に支障がでるだけでなく、大雨時にあふれて周辺の住宅や施設にも悪影響が及ぶことになります。
このため、多面的機能の恩恵を維持していくためには、農地や水路を絶えず地域全体で手入れをしていくことが重要なのです。
こうしたことから、国では、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るため、「多面的機能支払交付金」制度を法制化し、農業者を中心に地域の人々が総出で行う草刈や土砂さらいなどの共同活動を支援しています。
この制度に取り組む活動組織は全国に約26,000組織存在しており、これらの活動は、多面的機能が将来にわたって適切に維持・発揮されることに寄与しています。
従来、草刈や土砂さらい等は地域の農業者を中心に行われてきましたが、多面的機能の恩恵は地域全体に及んでおり、また、進行する農業者の減少や高齢化などを考えた場合、地域の農業者以外の方々にも共同活動に参加してもらわないと、多面的機能を支える水路や農地の保全が十分に維持できなくなってしまいます。
このため、本交付金の活動組織においては、農業者のみならず、地域ぐるみの活動として共同活動が行われ、コミュニティ機能の増進にも寄与しています。
活動組織(取組地域図)
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